マツノヤ人文学研究所

独断と臆見による人文学研究と時評

じひょう

We Shall Never Surrender...

一般的に、西洋は現実主義、東洋は神秘主義というイメージが根付いている。しかしながら、中国は現世利益的、インドでは思弁的、さらに道教は理想主義、儒教は現実路線……など、言ってしまえば何とでも言えるのであって、そのイメージは産業革命、帝国主義以…

学問への動機

歴史にかぎらず、学問は現代の鏡である。なにか「現代に通じるもの」を嗅ぎ取ったからこそ、深く掘り下げて研究が行われる。書籍や論文で浸透する学説、というものは、時代精神、時代の要請にかなったものだからこそ、その影響力を認めざるを得ない。そこに…

#『市民ケーン』が最高の映画とかいう風潮に抗議します

もし大学の講師だったらこんな授業をすると思う。 www.businessinsider.jp 2020年になってもなお『市民ケーン』が史上最高の映画だそうだ。 こういう「映画通」の選ぶ映画というのは、ご多分に漏れず「懐古」や「思い出補正」が入っているし、最新の映画を推…

人文学的「情報機関」について

人文学はただ専門的に研究されるだけではなく、それを総合的に集約し、分析する場を必要としている。 再三述べてきたことだが、文系学部の知識は役に立たないといわれる。歴史や哲学、文学は、娯楽や教訓くらいにしか認識されていない。大学院に進学し、専門…

フォークロアの研究――いわゆる「都市伝説」「集団幻覚」から

「科学文明社会」を生きる人間においては、迷信におちいることは恥ずべきこととされている。その一方で、全体主義や都市伝説、疑似科学など、およそ現代人とは似ても似つかない迷信的な信仰をもつ人びとを、近現代の狂騒は生み出してきた。 現今の「コロナ禍…

自粛の黙示録(Apocalypse Nowadays)

出口の見えない自粛がつづく。テレビを見ていてもSNSを眺めていても、誰々はこうして我慢している、だからお前らも自粛しろだのとやせ我慢の見せ合いになってしまっている。あるいはお国のためにと見栄を張り、マスクやガウンづくりに精を出す。 すっかり戦…

生成と変容

「語源」「神話の類型」「心性」の研究は息が詰まるし、行き詰まる。なぜかというと、これらの起源をたどるという行為が、病的な収集癖、衒学、知識人の選民意識(アカデミズム)、オカルトといった近代活字文化の爛れた腐臭にまみれているからであり、その…

物語、隠喩、精神

「賢さ」にはまったく異なる二つの概念が内在する。事物に関する知識の豊富さを単に量る「賢さ」と、その知識がどれだけの事物と関連するかという総体の「賢さ」である。いくら科学の知識が発展したとしても、多方面の学問を別々に知らなければならないなら…

「染中」時代の自覚

新型コロナウイルス肺炎は、新時代の「戦争」を我われにもたらしつつあるように思う。 ここまで至る現代日本の前史として、第二次世界大戦「戦後」の時代は、バブル崩壊から阪神淡路大震災、東日本大震災を経由した「失われた20年」で一区切りを迎えた、と考…

「知性」学の現在のために

植民地時代、ヨーロッパの国々は陸上海上を問わず区画し、みずからの領土を拡大していった。「探検し、地図上に線を引く」冒険譚と地政学によって、国際政治が展開されることとなる。 その後の戦争、独立、グローバル化によって、地理上の国境はなくなるかの…

道化の権威学、さらけ出し、見られるということ

Youtubeなどの動画文化の潮流は、すっかり我が国の祭祀芸能の伝統と習合してしまったように思う。前時代のラジオやテレビは、農村儀礼としての「万歳」の来訪や、都市の芸能としての「芝居」とを、同じく都市化で希薄となりつつあった民俗を「大衆文化」なる…

来たるべき労働観の変化:「労働運動」から「労働運用」へ

新型コロナウイルスによって経済活動が大きく変貌しようとしている。しかも、学校行事や地域のイベント、そして「東京五輪」といったここ1年の動向だけではなく、テレワークや時差出勤など、今まで梃子でも動かなかった慣習的な働き方への見直しをもともなっ…