マツノヤ人文学研究所

独断と臆見による人文学研究と時評

じんぶんがく

伝説リバイバル考:お菊・皿屋敷伝説

中世・近世の伝説は古代神話のリバイバルであるという仮説のもと、お菊さんで知られる皿屋敷伝説と、菊理媛≒白山明神の関係を夢想してみる。とんでもな推論かもしれないが。 中世の皿屋敷伝説の初見には、皿もお菊の名前も出てこず、鮑の盃、それも五枚のみ…

学融資本論――客観性と観客性

これの続き。 matsunoya.hatenablog.jp 景気次第ではあるものの、この数年のうちに経営破綻、機能不全に陥る大学や大学院はおそらく国公立、私立を問わず増えるのではないか、と考えている。学生は学生で高校卒業世代が少なくなるだろうし、学費の負担も重く…

歴史総力戦主義について

表題は全くの造語で、歴史にたいするある種の硬直的で閉鎖的な態度、日本史は日本史として、東洋史は東洋史として、西洋史は西洋史として固定観念をもって歴史に取り組むことをさす。ありったけの文献や考古学史料、そして学生や研究者を総動員して、学問と…

情報文化圏交渉比較環境人文学:継承と変容

matsunoya.hatenablog.jp 祭礼……風土(空間)とこよみ(時間) 異界観……交易や地理認識の反照 詩学……語源意識と隣接語群からの借用 汎ユーラシア的移動・交渉と知識集積……物語の発生の総合的考察 「シュメル神話」と「中国神話」の比較(先行研究あり) メソ…

分化する暴力:間名差し論

古来より哲学は渾然一体とした「一者」のようなものを根源として思考してきた。しかしながら、一がなぜ多に分かれるかについては、いまだに「悪」のような分化を仕向ける対向者を仕立て上げ、「一者」への回帰をうながすような筋立てに終始するものも少なく…

ロゴスの探究ーー嗜劇性の人文学体系

ことばという行為によって運ばれる形式と質料については、それを訣ち考えることができない。元来ことばとは、書物に記されるまでもなく、また書字が一般的になっても何者かに効力を強いるために運用される劇的かつ呪術的であった。それを記号や理念型、属性…

学融商品論ーー不可視の大学、または図書館

前まえから考えてきた学融機関について、少しずつ計画をはっきりさせていこうと思う。 matsunoya.hatenablog.jp 書籍がなぜ売れないのか、高校生や大学生のレベルがなぜ低いままなのか、人文学はなぜ社会の役に立たないのか……ほとんどの意見は文句を垂れ、問…

言語研究ノート

ことばとは符合することである。そしてその発展として、さまざまな強意の形態がある。それらを列ね、束ねることによって、言語はあるスタイルと構造を獲得する。 個としての領域、主観としてのことばから、客観的な集合体のための言語を確立するには、共同体…

「とりたて」と「列なり」、あるいは断絶と持続

「とりたて」表現がどのような形式で発現しているかの比較研究。 「こと」は、「もの」がいかなる関係におかれているかを指し示す。たとえば、文章とその主題のむすびつきのように。主題は、ただの主語と述語や、名詞や動詞の関係のみならず、より広範な想起…

一即多(いっしょくた)ーー二元論への試み

前の記事で、どうやら言語というのはイメージ(異名辞)、「強意」のかたまりであることに思いいたった。 matsunoya.hatenablog.jp 驚異であり、脅威であるところの、「乱れ」。集合体内にまた別の集合体を見いだす「入れ子構造」。われわれは矛盾や反語をたや…

情報文化圏交渉比較環境言語人文学ーードラマトゥルギー序説

情報文化圏交渉比較環境言語人文学の取り扱う事柄についてメモ。 matsunoya.hatenablog.jp 「こよみ」時間知と「風土」空間知という前提 感覚から慣習という一定の流れ、構想 密な空間と疎な空間、山岳、丘陵からむらやまちへ向かう儀礼 密な時間と疎な時間…

芸能、マス・コミュニケーション、信仰、旅、災害、病

表題に掲げた語群は、太古よりこのかた社会的連関を保ったまま、各地で文化現象を、つまり「かたり」をかたちづくっている。 従来多くの言語学は、おもに構文や発話行為といった「国家語」「民族語」の研究をしていても、その「かたる」対象ははなはだ空想的…

情報網と異文化交流、そして「実在性」

「実在性」を云々する書物が多く見られるようになった気がする。ヴァーチャル・リアリティなどで、現実と空想の境があやふやになっているからか、時間や世界の実在性を疑ってみたりするのが流行のようだ。このような論はたとえば「霊魂」のように何十年、何…

情報産業と人文学的知

いまのように漫然と人文学的知が利用されている状況を変えたい。 本が売れない、活字が読まれないという状況が何年も続いている。それは、社会がもはや欲望とか帝国とかいった理念を共有せずに細分化を重ねていった結果のようにも思える。本の形をとらなくて…

作品というまやかし

物語は古今東西どこにでもある現象である。あるできごとやものの由来、そして顛末についての知識を共有することは、共同体にとって不可欠な事柄だ。そうした知識を確かにし、共同体の在り方が安定することにより、物語自体を楽しむ、という生活様式が生まれ…

同意を示すことへの小論

言語をかんがえるとき、「同意」という現象はあまりにも当たり前であるため取り立てて言及されることはまれである。 しかし、同一の意味、同一の意識、同一の意義が「ある」ことを表現しようとすることは、ある空間上、時間上、社会的歴史的関係上のまとまり…

情報文化圏交渉比較環境言語人文学概論

表題に挙げた「情報文化圏交渉比較環境言語人文学」は、以前述べた「ポスト・オリエント学」の言い換えである。この1ヵ月の考察で、だいぶ構想が煮詰まってきたので、少しなりとも目的が伝わりやすいように専攻分野名を考えてみた。 matsunoya.hatenablog.jp…

変化(へんげ)と人文学……考えることを病める社会について

われわれのすまう生には、たえざる変化のうちに、恒常性が仮構されている。かたりは、「変わらない」とされる知識のうちから、「移り変わる」世界を観察する……といったかりそめの姿をとって、言説をきずきあげている。 アルカイックなものと考えられているこ…

「こよみ」と「風土」……人文学の根源

「書く」という行為が「人間」の社会と歴史に従属されてから久しい。「記録」「書字」「芸術」は、もう長い年月人間の想像力や理性といった責務にがんじがらめにされてしまい、著作権や個人情報といった見かけ倒しの管理技術、空虚な亡霊につきまとわれ、ご…

「まれ」を解釈する

前の記事「まれ」というアイデアは一種の感覚=間隔であることに思い至りました。matsunoya.hatenablog.jp ここでいう感覚=間隔とは、集合体としての「ものごと」群に向ける掴み取り作用を意味します。空間上、時間上にあらわれた「同意」の持続が、「日常…

「まれ」のエコノミー

「まれ」ということばには、時間上の機会の稀少性と空間上の物質の僅少性、どちらのニュアンスもふくまれている。 稀少性や僅少性を人間に適用すれば、まれびと、まろうどとなる。外来の客人や異人をさすことばである。適切に迎え入れることにより恵みをもた…

集合体をかんがえる

言語のはたらきを考えるにあたって、前回の論考では、占いや呪術といった思考方法が「見通し」を作り出すことを取り上げました。 matsunoya.hatenablog.jp この見通し行為は、ものごとをひとつの集合体として思いなします。集合体のなかにふくまれるものごと…

ポスト・オリエント学序論――ユーラシアを見据えて(未定稿)

この記事は以下の構想への「オリエンテーション」です。 matsunoya.hatenablog.jp わたしは人文学をたんなるオカルトやファンタジー、イマジネーションの産物とみなす姿勢からきりはなす必要があると考えています。また、民族や宗教、国家、文明といった「近…

ポスト・オリエント学としての人文学再編案(工事中)

ただいま構想しているものを、アウトラインていどにまとめておきます。 陰陽思想とポスト・オリエント学 神話素としての陰陽 古代ギリシア神話やオリエントの宗教、ヒンドゥー神話などを、吉野裕子のいうような五行や陰陽でこじつけ、もとい「定点観測」して…

『学融』のネットワークをつくりたい

人文学が役に立たないというスローガンに飽き飽きしている。 「人文学は役に立たない」、具体的には「金にならない」先入見がある。社会人は少しでも「社会の役に立つ」ビジネス本や自己啓発、成功者の人生道徳から借りたことばを振り回す。それらの現代的な…