マツノヤひと・もよう学研究所

独断と臆見による人文学研究と時評

研究とその姿態(スタイル)

研究活動で重要なものは、参考文献である。その書式については、英文ではAPAやChicago Style、MLAが細かい作法を規定しているが、邦文での(とくに文系の)明確な基準は、寡聞にして知らない。

今までどの大学も研究機関も書式の統一に関心をもたなかったとすれば、それこそ文系学問の軽視の淵源といってもよいのではないか。上から押しつけるばかりでない。研究者自身の自己表現への意識という「下からの要求」が生まれなかったというのも不思議でならない。

 

更に言うならば、参考文献は表だって顕れる文字資料のみではないと思う。読書体験によって自らのスタイルが影響下におかれたような、もう文字や解釈としてははっきりと覚えていないが染み付いた「参考文献」があるだろう。論文のキーワードではないが、そうした文献をタグとして表記すると、読者どうしの横のつながりが明確になって、研究に広がりが生まれるのではなかろうか。