学融機関論――「学行」構想
これらの続き。
まえに「学財閥」という、学問的にも経営的にも厳しくなった大学を、地域や企業が銀行とともに再建に取り組み、学生の消費や就職を囲い込むようになるのではないか、という予測を述べた。今回は大学や研究所側も、ゆくゆくは金融システムのように研究を管理し「貸し付ける」ようになり、より学際的な交流が生まれるのではないか、と期待をこめて、学校と銀行のハイブリッド、「学行(がくこう、UniVanque)」と名付ける。
●「講座」の管理
学行では、教師や講師について教えられるのではなく、一人ひとり「講座」をもって、みずからの研究を預けたり、研究を参照したり、借りることができる。
その際、付加価値、利得として「学利」が掛けられることとなる。学利はお金ではなく、その研究にかんするレビューやレポート、メモなど学行と顧客間の「ブレインストーミング」である。有用な他分野の知識であったり、図書館のレファレンスサービスのような、書籍のセットをすすめる……といったものを考えている。
●地域の文化財・サービス運用のための「学融商品」化(ポートフォリオ)
地域の活性化に史跡や伝統的な行事を見直すことは不可欠であるが、戦国や幕末への日本史の好みの偏りや、「小京都」「山車文化」「踊念仏」のように、広がりは知られているもののそれぞれの地域ごとの特色や背景が見えづらいなどといった問題点がある。
それらを研究……まではいかないが、知識としておさえ、次代につなげるために、文化的な「テーマ」をもとに書籍やフィールドワーク活動などを「学融商品」として簡単にまとめる。地域や企業は、学融商品に参画、支援することで、「学利」を地方創生につなげることができる。
●情報の「学付け」
フェイクニュースやファクトチェックなど、情報の「正しさ」についてはまるで魔女狩りや異端審問のような「弾圧、抑え込み」が働いている。これでは、正しいにしても誤っているにしても質の低い情報しか出回らなくなってしまう(現に検索サイトではもう手遅れである)。時代は「格付け」ではなく、付加価値として学利をつける「学付け」を求めている。学行は情報の番人として、率先的に情報の再生産を行い質の高さを維持する義務をもっている。
そのために、学行は「学付け機関」、電子出版物やブログ、Wikiなどによる研究の共有、公開、広報につとめる。
以上まだまだ「学行」は机上の空論であるが、この「マツノヤ人文学研究所」を学行のモデルにできるよう、「学融」活動を続けていく所存である。